それでもキミと、愛にならない恋をしたい
笑ってしまうような不純な動機だったが成績はグングン伸びていき、彼女の両親も喜んでいたのに……。
希美は居眠り運転の車の事故に巻き込まれ、短すぎる生涯を終えた。
事故の日、本当なら一緒に新しい問題集を買いに行くはずだった。だけど俺は友達に呼び止められ、希美を先に本屋へ向かわせた。他愛ない用事だったし、すぐに追いつくつもりだった。
しかし結局十五分ほどかかってしまい、足早に本屋へ向かったが、俺が友達と談笑している間に悲劇は起こった。
それを知った時の絶望と後悔の念は、一生忘れられない。
もしも……もしも俺が約束どおり希美と一緒に本屋へ向かっていたら、希美は死なずに済んだのかもしれない。
運ばれた病院で涙ながらにそう話した俺を、希美の両親はひと言も責めなかった。そして葬儀が終わり、四十九日を迎えたあと、参考書を希美の形見としてくれた。
憧れの制服を着るため、ボロボロになるまで勉強した参考書の持ち主はもうこの世にはいない。もらったものの、一度もページを開くことはできなかった。