それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 あんなに未来に希望を持って必死に頑張っていた希美じゃなく、俺があの場にいれば……。

 希美との思い出とともに、悔恨とも自棄ともとれる思いが込み上げてきて、俺は落としたカバンの中身を拾うこともできず、その場に立ち尽くした。

 そんな時、道端に散らばった荷物を拾い集めてくれた女の子がいた。最後に参考書を差し出され、その無邪気な親切心に身勝手な苛立ちが募った。

 まったく無関係の彼女に八つ当たりをするように、俺はわざと冷たい声を出した。

「俺のじゃない」
「え? でも……」
「その参考書の持ち主は、俺のせいで死んだ」

 なんでそんなことを言ったのか、今でもわからない。俯いたまま、拾ってくれた礼も言わずに、ずっと誰にも言えなかった心の鬱憤を吐き出した。

 もうどうでもいい。誰になにを思われてもいい。そう思っていたのかもしれない。

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