それでもキミと、愛にならない恋をしたい
「毎日一緒に勉強してた。成績も上がったし、きっと合格できたはずだ。同じ高校に入って、青春するって、見せつけるって、あいつは楽しみにしてたのに……」
希美の天真爛漫な笑顔を思い出すたび、罪悪感に押し潰されそうだった。
俺がひとりで先に行かせたせいで、彼女の命は散った。謳歌するはずだった青春は、寒い冬の真ん中に取り残されたままだ。
希美の事故から、受験勉強すら自責の念で辛かった。教科書や参考書を見るたび、一緒に本屋へ行かなかった自分を責めては虚無感に苛まれる日々。
みんな口に出さないだけで心の中では俺を責めているんじゃないかと思ったら、余計に他人に触れるのが怖くなった。
このまま希美のところへ行くべきなんじゃないか。そう考えてしまうくらい、俺は追い詰められていた。
それを救ってくれたのは、名前も知らない女の子だった。
「あ、あの……この参考書の持ち主は、あなたがそんな辛そうな顔をするのを望んでいないと思います」