それでもキミと、愛にならない恋をしたい
〝あの日、一緒に帰っていれば……〟という後悔は、きっと一生かかっても消えない。だけど、それだけを抱えて罪悪感で潰れるのを彼女は望んでいないと、信じてもいいんじゃないかと思えるようになった。
「今、めちゃくちゃ幸せだよ。だから希美も、そっちでイケメン見つけて幸せになれよ」
最後に墓に手を当てて目を閉じると、満面の笑みで頷く希美が見えた気がした。
再び二時間半かけて空港へ向かう道中、躊躇いなく幸せだと報告できた喜びを噛み締めていた。
希美に話したように、菜々と恋人同士になれて、日野という親友もいる。
両親にさえ疎まれている俺は、誰も本当の自分を受け入れてくれる人間なんていないと思ってた。
高校に合格し、唯一同じ中学からうちの高校に通う日野和樹と親しくなる中で、俺は一大決心をした。
両親以外に打ち明けたことのない秘密を、日野だけに話したのだ。