それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 日野先輩から楓先輩の過去を聞いた翌日、私は寝不足の身体を引きずって登校した。

 本当は楓先輩に会うのが怖くて仕方なかったけど、今日私が休んだら京ちゃんを心配させてしまうし、日野先輩に話したことを後悔させてしまうかもしれない。

 けれどズキズキと頭は痛むし、目の奥がずっと熱い。公園で泣きすぎたせいか、きちんと冷やしたはずなのに目が腫れぼったくて、学校に着くとなんだか吐き気までしてきた。

 なんとか三時間目の途中までは耐えたけど、限界を迎えて机に突っ伏してしまった。あまりに顔色が悪かったのか、先生に保健室へ行くように言われて教室を出る。

 背中に心配そうな京ちゃんの視線が向けられていたのがわかったけれど、振り向いて大丈夫だと微笑む余裕すらない。保健委員の美穂ちゃんに付き添われて保健室へ来た私は、入り口にある利用者カードにクラスと名前を書く。

「大丈夫? ほんとにめちゃくちゃ顔色悪いよ」
「うん。実はちょっと寝不足で……」

 なるべく心配をかけないように明るい声を出したいのに、それすら難しい。

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