それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 カードに今の症状を書かなくてはいけないけど、美穂ちゃんの前で頭痛や吐き気の欄に丸をつけられず、鉛筆を持つ手を止めた。

「ねぇ美穂ちゃん。京ちゃんにもただの寝不足だから大丈夫って伝えてくれる? 心配してると思うから」
「うん。もちろん」

 私たちの会話が聞こえたのか、保健室から出てきた養護教諭の田村先生が「付き添いありがとう。あなたは授業に戻りなさいね」と美穂ちゃんに声をかけた。

「はーい。じゃあ菜々ちゃん、少しだけでもゆっくり寝てね。京香ちゃんにもちゃんと言っておくから」
「ありがとう」

 美穂ちゃんの背中を見送り、私は症状の欄に頭痛や吐き気、そして昨日の朝からほとんどなにも食べていないこと、夜眠れなかったことを書いて田村先生に渡した。

「かなり顔色悪いわね。寝不足と空腹だろうけど、一応熱も計りましょうか」

 渡された体温計で計ってみると、三十七度七分。思っていた以上の数字が表示され、自分の弱さに嫌気が差した。

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