それでもキミと、愛にならない恋をしたい
返事をしないまま布団を被ってじっとしていると、「入るよ」という声とともに扉が開き、お父さんのスリッパの音が部屋の中に入ってきた。
まさか許可なく入ってくるとは思わず、私は布団の中でビクッと身体を震わせた。
「具合が悪いの?」
私が起きていると気付き、お父さんが小さなため息を吐きながらベッドのそばに腰を下ろした気配がする。勝手に部屋に入ってくるのも、そのまま居座るのも、今はやめてほしい。
そう言いたいけれど、口を開けばこれまで心の中に積もり積もった感情が流れ出してしまいそうで、私はなにも言えず、ひたすら早く出て行ってと祈るしかできない。
「真央も心配してたよ。早退するなんて、高校に入学してから初めてでしょ? 具合が悪いなら、薬を飲むなり病院に行くなりしないと」
それにもなにも答えないでいると、お父さんが珍しく語気を強めた。