それでもキミと、愛にならない恋をしたい
ラグの上にある小さなローテーブルに受け取ったお盆を置くと、手を合わせてからスプーンを口に運ぶ。
鮭と卵とネギのシンプルなおじやが、空っぽの胃にじんわりと染み渡っていく。作った真央さん同様、とても優しい味がした。
「……おいしい」
私が小さな声で呟くと、彼女は嬉しそうに「よかった」と笑う。
「食器は部屋の前に置いておいてくれたら取りにくるから。ゆっくり食べて」
「……あのっ」
部屋から出ていこうとする真央さんを、咄嗟に引き止めた。
お父さん達が再婚して、一緒に住み始めてから約八ヶ月。私は真央さんと深く関わらないようにして生活してきた。
再婚に反対だと声を上げなかったとはいえ、納得して賛成しているわけじゃない。真央さんにどんな態度を取ったらいいのかわからず、彼女にも、自分の気持ちにも向き合わずに逃げてきた。