それでもキミと、愛にならない恋をしたい
真央さんが肩を竦めて告げた意味は、私にだってよくわかる。
こんなに朝早くから、息を切らして来てくれた。それはたぶん、私が送ったあのメッセージを見て、納得できなかったから。
それを……嬉しいと思ってしまった。本当に、私の気持ちは矛盾だらけだ。
「……着替えてきます」
「うん。洋司さんにはうまく言っておくから、こっちは気にしないでゆっくり話してきたらいいよ」
私と楓先輩は、家の近くの親水公園に移動した。先輩がブルーのクロスバイクを押す左側を歩く。その間、私たちはひと言も口を開かなかった。
お風呂上がりだった私は部屋着姿からシンプルなマキシ丈のパーカーワンピースに着替え、財布とスマホだけを入れた小さなバッグを持って家を出てきた。
朝のこの時間はとても冷える。マフラーを持ってくればよかったと後悔した。