それでもキミと、愛にならない恋をしたい
公園に着くと、広場では数人のお年寄りがラジオ体操をしていたり、思い思いに身体を動かしている。それを見ながら空いているベンチに座った。
「体調は?」
「もう大丈夫です。心配かけてすみません」
お互いに、どこかぎこちない雰囲気が漂っている。間にひとり座れるほど空いているふたりの距離も、その雰囲気に拍車をかけていた。
「髪、少し濡れてる?」
「あ……さっきお風呂入ったから」
「病み上がりなのに、また風邪引くぞ。ほら」
先輩は自分がしていたグレーのマフラーを私に渡してきた。
「大丈夫です、先輩が風邪引いちゃう」
「思いっきりバイク漕いで暑いくらいだから」
「でも……」