それでもキミと、愛にならない恋をしたい
受け取るのを渋る私に痺れを切らし、先輩は私の首元にぐるぐるとマフラーを巻き付けた。
距離が縮まったのにドキッとして身体を硬直させると、「そんな怖がんなくても、触んないから」と聞き取れないほど小さな声で呟いた。
「え?」
聞き返した私に一瞥もくれず、すぐに距離が離れた。先輩がポケットからおもむろにスマホを取り出し、私に画面を向けてくる。
「これ、どういう意味?」
そこには私が送ったメッセージが表示されていた。
【もう、ふたりきりでは会いません。今までありがとうございました。】
無機質な文字から目を逸らし、平静を装って答える。