それでもキミと、愛にならない恋をしたい
「そのままの意味です」
「俺と別れたいってこと?」
胸がズキンと痛む。自分から送っておいて、楓先輩から言葉にされると、本当にお別れなんだと実感が湧いた。
ショックを受けていないで頷かないと。もう決めたんだから。そう思っていると、先輩が続けて口を開いた。
「……俺が、怖くなった? そばにいるのが嫌になった?」
問いかける声が絶望の色をしているのに気付き、私は慌てて顔を上げた。
先輩は無表情でこちらを見ている。けれど瞳の奥は仄暗く、私も周囲の景色もなにも映していないようだった。
家からずっと視線を合わさないように俯いていたから気がつかなかった。
あの柔らかく、優しく微笑む先輩が、どこにもいない。
「違いますっ!」