それでもキミと、愛にならない恋をしたい

「昨日、菜々から言われたこと、僕なりにずっと考えてたんだ。再婚について説明不足だったのは僕の落ち度だし、タイミングがいいからと引っ越しを急いだのも申し訳なかった。でも、誓って亜紀ちゃんを忘れたわけじゃないし、今でも僕は亜紀ちゃんを大切に思ってるよ」
「うん。それはわかってる……つもり」
「だからこそ、菜々には浮気とか二股のように感じるということだよね。真央との再婚が亜紀ちゃんを裏切っているっていうのは、そういう意味?」

 いよいよずっと心に秘めていた部分を話さなくてはならないし、お父さんの本心を聞く時がきた。

 ずっと避けてきた。お父さんの本音から逃げ続けてきた。だけど、それももう終わりにしなくちゃいけない。

 私が俯き気味に頷くと、隣からふうーっと大きく息を吐く音が聞こえた。もしかしたら、お父さんも私と同じように緊張しているのかな。

「どう話したらいいのか、一晩考えても……答えが出なかった。浮気や二股に見えると聞いて驚いたけれど、客観的に見るとそうなのかと思う部分もあった。でもね、もしも……。たらればの話なんて意味がないかもしれないけれど、もしも亜紀ちゃんが生きていたら、僕は真央と結婚していなかったよ。当然、女性として見ることもなかった」
「……それは、真央さんも同じことを言ってた」
「そうか」
「だったら、真央さんはお母さんの代わりなの? 二番目に好きってこと?」

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