それでもキミと、愛にならない恋をしたい
空を見上げて、笑顔を作った。
ずっと、お父さんの再婚を受け入れられなかった。お母さんが悲しむ気がして、家族の思い出が崩れてしまう気がして、それを裏切りだと思い込んでいた。
正直に言えば、お父さんの思いを聞いても、この手紙を読んでも、お父さんがお母さん以外を選んだのは少しだけ寂しく感じている。
でも、お父さんには幸せになってほしいし、お母さんもそれを望んでいるのなら、もう私に言えることはひとつしかない。
「私も、お父さんの再婚に賛成する。真央さん、とってもいい人だよ。綺麗で、おしゃれで、料理も上手で、お父さんにはもったいないくらいの人だよ」
「菜々……」
お父さんが私を振り返ったけれど、私は視線を空へ向けたまま、お母さんに語りかけた。
「私、今とっても幸せだよ。お母さんとのお別れが早すぎたのは悲しいけど、学校では友達に恵まれてるし、恋もしたよ。うまくいかなくてたくさん泣いたけど、後悔しないように、もっともっと幸せになれるように頑張る。だから……ずっと見ててね。私、お父さんとお母さんの娘に生まれて……本当に、よかった……っ」