それでもキミと、愛にならない恋をしたい
泣かないように、笑顔で手紙の返事をしたいのに、次から次へと涙が溢れてくる。
耳に流れた涙を手のひらで拭いながら、目の前で私を見つめるお父さんに視線を向けた。
「昨日は、酷い態度をとってごめんなさい。今さらかもしれないけど、お父さん、結婚おめでとう」
「うん。ありがとう、菜々」
お父さんが嬉しそうに頷き、両腕を広げている。なんのポーズなのか分からず、私はその場で固まった。
「……え、なに?」
「なにって、ここはお父さんの胸に飛び込んでくるところでしょ」
さも当然のように待ち構えていて、私の涙は一気に引っ込んでいった。
「やだよ」
「なんで!」
「高校生にもなって、お父さんとハグなんてしないよ」
「……お父さんとしないのなら、誰とするの」
「誰とって……」