それでもキミと、愛にならない恋をしたい
何度も私と話そうとしてくれた先輩だけど、もうさすがに呆れているかもしれない。「触らないで」なんて酷いことを言ったり、勝手に別れを切り出して逃げたり、振り返ればめちゃくちゃ身勝手な言動ばかりだ。
だけど、お母さんの手紙に気付かされたことがある。
『未練がひとつもない人生なんて難しいけど、できるだけ後悔しない道を選んで生きてほしい』
このまま楓先輩とお別れして、私は本当に後悔しない……?
そう考えたら居ても立っても居られず、私は自分の部屋に入るなりスマホを手にして先輩にメッセージを打ち始めた……のだけれど。
「なんて送るのが正解なの……」
私はイルカにウエストができるほどキツく抱きつき、足をじたばたと動かした。
あれだけ自分勝手に言い逃げしておいて、どんなメッセージを送ったらいいのかわからず、文章を打っては消し、打っては消し、を繰り返している。