それでもキミと、愛にならない恋をしたい
もしかしたら、私を心配してずっとスマホを手放さずに気にしてくれていたのかもしれない。うだうだと考えていないで、もっと早くメッセージを送るべきだったのに。
【心配かけて、本当にごめんなさい】
帰り際にお父さんが言っていた。家に来た時の楓先輩は『自分の不用意なひと言で菜々を追い詰めてしまった』と話していたと。
私のために部活を休ませてしまうのは申し訳ないと思ったけれど、部活を終えたあとに会うとなると、かなり遅い時間になってしまう。
なるべく早く話がしたくて、今日だけは先輩の厚意に甘えようと、私は続けてメッセージを打った。
【学校が終わる時間に、親水公園で待ってます】
もう逃げない。
ちゃんと自分の気持ちを話して、先輩からも話を聞くんだ。
そう心に誓って、私は昼食の支度を手伝うために、一階へ下りていった。