それでもキミと、愛にならない恋をしたい
夕食中、三者面談に来られなくて拗ねていたお父さんをいなしながら、先生とどんな話をしたのか伝える真央さんを思い出した。
ずっと長い間悩んでいたけれど、自然と真央さんを褒める言葉が出てくる。そんな自分の変化が擽ったいけれど、右隣にいる楓先輩が私を見て小さく微笑んでくれたから、これでいいんだと思える。
京ちゃんには、お父さんの再婚について自分の中のわだかまりが消えたのをきっかけに、家庭の事情について話していた。
忘れられない恋人がいると思っていた楓先輩を、お母さんを想いながら再婚したお父さんと重ねて苦しかったことを話した時は、京ちゃんも一緒に泣いてくれた。
『菜々……ひとりで悩んで辛かったね。話してくれてありがとう。なにかあればいつでも助けるからね……!』
大好きな京ちゃんにずっと言えなかったことを打ち明けられてホッとしたのと同時に、彼女の優しさに改めて感謝の気持ちでいっぱいになった。
「なんか、京ちゃんと真央さんって似てるかも」
「ええ? 私は派手って言われるけど、真央さんは癒し系美女じゃない?」
「見た目じゃなくて、優しくて強いところ。私、ふたりのそういうところ尊敬してるの」
「そっ、そういうの照れるから! っていうか優しいのは菜々の方だし! もうっ、ほら、どんどん進むよ!」