それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 耳まで真っ赤にした京ちゃんがぐんぐん歩みを速め、人混みに紛れてすぐに見えなくなってしまった。慌てて追いかけようとしたけれど、日野先輩が苦笑しながらすぐに人の合間を縫って進んでいったのを見て、「ここは日野に任せよう」と楓先輩が言った。

「あとで合流すればいいし」
「ここからは別行動、ですか?」
「うん。菜々はなに見たい?」

 今日は私と楓先輩、京ちゃんと日野先輩の四人で、県内にある大きな水族館に来ている。冬休み直前の土曜日、クリスマスシーズンということもあり、かなり混み合っていた。

『本当にごめん! 俺が勘違いしてたせいで、めちゃくちゃ悩ませちゃったよね』

 集まって早々日野先輩に頭を下げられて驚いたけれど、中間テストの勉強会以来こうして四人で集まるのは初めてで、とても楽しみにしていた。

 でも、まさかこの水族館に来ることになるなんて……。

「菜々? 水族館、嫌だった?」

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