それでもキミと、愛にならない恋をしたい

佐々木先輩が説明してくれているけど、ほとんど頭に入ってこない。だって、淡々と話す声音はどこか苛立ちを孕んでいる気がするから。

あの事故の日に感じた優しさはなく、学校で見かける寡黙でクールな雰囲気というよりも、なんだか怒っているような……。

私は俯いて必死に考えた。

もしかして迷惑だったのかな? 教室に入っていいと言ったのは先輩だけど、やっぱり本人のいないところで出場種目を調べるなんて非常識だと思われてる?

それとも、学校のアイドルと言われる日野先輩のことだから、もしかして今日何度もこの話題を聞かれてうんざりしてるとか?

だとしても、やっぱり私は京ちゃんの恋を応援するために、日野先輩がどちらに出るのかを知りたい。

おそるおそる視線を上げ、長身の佐々木先輩を上目遣いに見上げると、彼はキュッと唇を引き結び、バツの悪そうな顔でボソリと呟いた。

「……ちなみに、今日野に聞いたらサッカー希望だって」
「えっ!」

佐々木先輩の言葉に反応した京ちゃんが、慌てた様子で彼に問いかける。

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