それでもキミと、愛にならない恋をしたい
「本当ですか?」
「え? あ、ああ。今連絡したら、そう返信がきた」
「どうしよう、急がなきゃ」
京ちゃんは慌てた様子で佐々木先輩に「ありがとうございます。助かりました」と頭を下げた。
「ごめん、菜々。先に行く! あとよろしく!」
「……えっ!?」
私が一拍遅れて京ちゃんの言葉を理解した頃には、彼女はもう廊下をひた走り、階段の方まで進んでいた。
すぐに追いかけて行かなかったせいでタイミングを逃した私は、ぽつんと黒板前に取り残されてしまった。それも、目の前には佐々木先輩がいるままで。
一体この状況をどうしろって言うの、京ちゃん!
いくら心の中で文句を叫んでも、もう本人は教室に戻り、バレーを選んだ子に交代してくれないかと頼んでいるだろう。
もちろん彼女の恋を応援したいから、それは全然構わない。京ちゃんが、サッカーで活躍する日野先輩を目一杯応援できたらいいなと思うけど。