それでもキミと、愛にならない恋をしたい
私が京ちゃんのおかげで高校生活を楽しめているように、もしかしたら佐々木先輩も日野先輩に助けられた経験があるのかもしれない。
先程まで感じていた気まずさなんて吹き飛び、私も負けじと京ちゃんを猛プッシュする。
「あの……京ちゃんも、日野先輩が言ってた通り、めちゃくちゃ可愛いですよ。サバサバしててしっかり者だし、美人だけど気取ってないし、本当にいい子なんです!」
両手でこぶしを握りしめて力説すると、佐々木先輩がまた小さくフッと笑った。
「なんか、俺らなにしてんだろうな。お互い友達のいいところアピールしたりして」
きゅうっと胸を締めつけられながらも、その笑顔につられて私まで笑ってしまった。
あの事故のことや図書室の話題も出ないし、きっと先輩は気付いていないんだろう。ホッとして少しだけ肩の力が抜けた。
「ほんとですね」
「君らがここに来た目的を考えれば、ふたりがうまくいくのは時間の問題だって言ってあげたいんだけど」
「……違うんですか?」
「さっき言った通り、周りが囃し立ててるだけで、日野はめちゃくちゃ奥手だと思う。可愛い子がいるって話、最初に聞いたの五月だぞ」
「京ちゃんも、委員会でたまに話すだけで精一杯って言ってました」