それでもキミと、愛にならない恋をしたい

それはテスト勉強の話? それとも呼び方?

どちらも嫌ではないから、ふるふると首を横に振る。

「じゃあ、ライン聞いていい? 俺と日野の予定がわかったら連絡する」

どうしよう、展開が早すぎてついていけない。

ずっと遠くから眺めてるだけの佐々木先輩に遭遇しただけでも心臓が壊れそうだったのに、その彼としゃべって、名前を呼ばれて、連絡先まで交換するなんて。

あれ、これ、夢かな?

なんだかふわふわと雲の上を歩いている気分のまま、スマホを取り出してIDを交換する。

〝ともだち〟の欄に『佐々木楓』が加わった。

アイコンは風景写真で、緑と紅の葉っぱが入り混じった大きな楓の木。とてもおしゃれで、自分のイルカのぬいぐるみのアイコンがとても子供っぽく感じて恥ずかしい。

< 37 / 272 >

この作品をシェア

pagetop