それでもキミと、愛にならない恋をしたい
それでも、自分のスマホに佐々木先輩の名前があるだけで、とても幸せな気分になる。
いや、違う違う。そうじゃない。
舞い上がりそうな気分を慌てて押し止めた。
これは京ちゃんのため。京ちゃんと日野先輩の恋を応援するために、佐々木先輩が力を貸してくれているんだから。
「あの、佐々木先輩。ありがとうございます、協力してくれて」
私が、なにかできることないかな、と彼の前で呟いてしまったから、優しい先輩は協力を申し出てくれたに違いない。
怖そうな雰囲気とか、クールな印象があるけれど、やっぱりとても優しくて素敵な人だ。
「楓」
「え?」
「名字同じだと、呼んでて変な感じだろ。楓でいい」
ぶっきらぼうな言い草だけど、見上げた先輩の耳が少し赤くなっているのに気付いてしまった。
やばい。心臓が壊れる。