それでもキミと、愛にならない恋をしたい
お母さんが亡くなって約七年。ずっとお父さんとふたりで生きてきた。寂しさも、悲しさも、やるせなさも、全部一緒に乗り越えてきた。
家事が壊滅的に下手なお父さんのために、必死に料理を覚えたし、洗濯も掃除も頑張った。
学校から帰ったらまず学校に行く前に干した洗濯物を取り込み、スーパーへ行く。夕飯と明日の朝ごはん用の材料を買い、夕食の下ごしらえをしてからお風呂洗い。
お父さんが帰宅してから夕食の仕上げをして一緒に食べて、そのあとに宿題をする。
寝る前にはお父さんのワイシャツのアイロンをかけたり、季節の変わり目にはスーツや制服をクリーニングに出したり、慣れない家事にてんてこ舞いになりながら生活していた。
当然、友達と遊んだりする暇もなく、やるべきことに追われる日々。
お父さんは「家事なんてほどほどでいいんだよ」なんて言っていたけど、外食やお弁当ばかりの食事は飽きるし、しわくちゃの制服を着るのも、埃っぽい部屋で暮らすのも嫌だった。
だから家事を頑張って覚えたし、私を育てるためにお母さんを亡くした悲しみから立ち上がり、働いてくれているお父さんの役に立ちたかった。