それでもキミと、愛にならない恋をしたい
天国から見守っているお母さんを心配させないよう、頑張って一生懸命笑って生きてきたのに。
お父さんがお母さんを想ってた気持ちはどこに行っちゃったの? もう好きじゃないの? どうして他の人と結婚するの……?
胸の奥でグルグルと渦巻く感情を吐き出せないまま、ずっと持て余している。
考えれば考えるほど苦しくて、お母さんを思うとやりきれない。
子供心にも仲のいい両親だった。互いを「洋ちゃん」「亜紀ちゃん」と呼び、私の前でも平気でハグするような夫婦だった。そんなふたりが大好きで、私もハグをしてもらいにふたりに抱きつきにいったりして……。
お母さんが亡くなった時のお父さんの憔悴ぶりは凄まじく、いつの間にか私のほうが励ます側に回ったりもしていたのに。
どうして再婚なんてしたんだろう。お母さんを嫌いになったり、離婚したりしたわけじゃないのに……。
鬱々とした気持ちを吐き出すように大きく深呼吸をして、スクールバッグを拾って階段をのぼる。自分の部屋に入るとようやくホッとした。
帰ってくるたびに、真央さんやお父さんの顔を見るたびに、息が詰まる。