それでもキミと、愛にならない恋をしたい
私の表情を見た京ちゃんが焦ったように首を振り、慰めるように肩に手を置いた。
「大丈夫だよ。無理に話さなくても」
「でもね、全部をうまく話せないかもしれないけど、京ちゃんに聞いてほしい話があるの。私、噓をついてた」
楓先輩に対する気持ちを自分で認めた今、一番に京ちゃんに打ち明けたいと思った。
大きく息を吸って、ゆっくり吐く。本人に告白するわけじゃないのに、緊張で手がじんわりと汗ばんだ。
「わ、私ね、楓先輩が……好き。ちゃんと、恋愛的な意味で、好き」
好き。好き。言葉にしてしまったら、もう止められない。
初めて出会った時のあの優しさと、学校でのクールな雰囲気のギャップが気になっていた。
それから目で追うようになって、めちゃくちゃカッコいい外見も、近寄りがたいほど寡黙で凛とした立ち姿も、日野先輩と一緒にいる時の砕けた表情も、全部に惹きつけられた。
自分じゃつり合わないとか、いつかは気持ちが変わってしまうとか、色々言い訳を並べて認めないようにしてきたけど、実際に彼と話してみたらもうダメだった。