それでもキミと、愛にならない恋をしたい

「四人でテスト勉強するのも、もちろんめちゃくちゃ楽しみなんだけど。それとは別に、菜々はいつの間に佐々木先輩を『楓先輩』なんて呼んでるわけ?」
「えっ」
「なによ、もしかして……もう付き合ったりしてるの?」
「そっ、そんなわけないじゃん! 名字が一緒で呼びづらいから名前でいいよって言われたからで……」
「え? それは佐々木先輩から言ってくれたってこと?」
「うん」
「じゃあ、佐々木先輩は菜々のことなんて呼んでるの?」
「……な、菜々って」
「きゃー!」

握りこぶしを上下にブンブン振りながら黄色い声で叫ぶ京ちゃんを慌てて止める。教室中の視線が一気にこちらに向いた気がした。

興奮気味の京ちゃんはそんなことお構いなしに、さっきよりも頬を上気させながら私の顔を覗き込んでくる。

「ちょっと! これは事情聴取が必要よね」
「な、なに、事情聴取って……」
「ちゃっかり名前で呼び合ってるなんて、私より菜々の方がよっぽど進展してるじゃん!」
「うぅ……そんなんじゃないってばぁ」

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