それでもキミと、愛にならない恋をしたい

「じゃあ、また明日ねー」
「うん、バイバイ」

 帰る支度の済んだ美穂ちゃんに手を振ると、私はたった今配られたばかりのプリントに視線を落とし、大きくため息をついた。

【三者面談のお知らせ】

 そう書かれたB5の紙切れ一枚でここまで憂鬱な気分になっているのは、たぶん私ひとりに違いない。

 これまで学校の行事などは、すべてお父さんが仕事を休んで参加していた。運動会や親子遠足はもちろん、作品展や授業参観も他のお母さん達に混じって来てくれたのは、私にお母さんがいない寂しさを感じさせないようにというお父さんの優しさだとありがたく感じる。

 その反面、かなり無理をしていたように思う。お母さんを亡くし失意の中、男手ひとつで娘の私を育てるだけでも大変なのに、学校行事にまで気を配ってくれていた。どれだけ大変か、小学生だった頃の私よりは理解できているつもりだ。

 高校に入れば保護者が参加する行事も減るし、あまり負担をかけないだろうと思っていたけれど、その考えは甘かったらしい。

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