財閥御曹司の独占的な深愛は 〜彼氏に捨てられて貯金をとられて借金まで押し付けられた夜、婚約者に逃げられて未練がましい財閥御曹司と一晩を過ごしたら結婚を申し込まれました〜
街の不動産屋に飛び込みで行くと、なんとか対応してもらえることになった。
営業に聞かれた千遥が予算を伝えると、海恋は不思議そうな顔をする。
「そんな金額で住めるものなの?」
千遥は苦笑した。
いくつかの物件を見せられ、三軒を案内されることになった。
不動産会社の車に乗ると、乗り心地に海恋は驚く。
「初めての乗り心地だわ」
居心地悪そうに何度も座り直し、結局白いノールスロイスを呼びつけた。
不動産会社の車には千遥と海里が乗り、ノールスロイスがそれを追う形になった。
営業はけげんな顔で運転して物件を案内する。
アパートの外観を見た海恋はまた不思議そうな顔をした。
部屋に入った直後、驚いて千遥以上にあちこちを見てまわった。
古い軽量鉄骨のアパートだった。よくある2DKで、どこにも変わったところはない、のだが。
「Excellent!」
海恋は興奮したように千遥を見た。
「必要なものがコンパクトにまとまってる!」
そう見えるのか、と千遥は感心した。確かに真道家の豪邸は広すぎて不便だと思うことがあった。
「ありがとうございます」
営業が営業スマイルで礼を述べた。
「私がここに住むわ!」
「駄目だ」
即座に海里が否定する。
そこからまた二人が英語でケンカを始めて、千遥はうんざりした。
営業は困惑して千遥を見る。
千遥は二人にはかまわず気になったところを質問して、営業はそれに答えた。
「私だって一人暮らししたいわよ。お兄様は留学したときに経験ズミデショウケド!」
「だったらマンション建ててやるから!」
急に日本語になった上にすごいこと言ってる。
ぎょっとして二人を見た。営業も驚いて二人を見ている。