ウソの魔法に、君とかかる (短)
「は、花崎く、」
どうしたらいいか分からなくて、目の前にいる花崎くんに助けを求める。
だけど花崎くんは、私が近づいたら、なんと自分は一歩、下がった。
私から逃げるように、巻き添えを食らわないように。
「ご、ごめん。その、気持ちは嬉しい……だけど、ごめん!」
「え、は……花崎くんッ」
謝って、すぐに走ってしまう花崎くん。
どうやら教室に戻ったようで、その後、数秒も経たない間にカバンを持って下駄箱へ向かう姿が見えた。
うそ……。花崎くん、一人で帰って行っちゃったの?
この状態の私を、一人残して……?
「う……っ」
この時、やっと気づいた。
花崎くんが、私なんかを好きじゃない事に。
恭子ちゃんの甘い言葉を、バカみたいに素直に信じてしまった事に。