ウソの魔法に、君とかかる (短)
「ごめんなさい、黒瀬くん……っ。私のせいで、黒瀬くんまで、みんなから変な目で見られちゃった……っ」
「暮石……」
「ごめんねぇ、ごめんなさい……っ」
私がバカだったせいで、黒瀬くんに迷惑をかけちゃった。
私、本当にバカだ。
大バカものだ。
「う~……っ」
まだ明るいと思っていた太陽は、少しずつオレンジ色に変わっている。
泣いて歩いてるからか、家まで少しの距離が、なかなか帰れない。
また、黒瀬くんに迷惑かけちゃってる……っ。
「な、泣いてばかりで、ごめんね……っ」
「……いや」
すると黒瀬くんは、キョロキョロと辺りを見回す。
そして「この辺でいいか」と。河原ちかくの土手を指さして、私の手を引いた。
「ちょっと話す?」
「え……」
「っていうか、俺が話したい。暮石と」
「私と……?」