ウソの魔法に、君とかかる (短)
何の話だろう……。
あ、「明日から学校どうしてくれるんだ」って事かな?
そうだよね、黒瀬くんが怒るのも無理ないよ。
だって、私……とんでもなく、迷惑かけちゃってるもん。
「気をつけろよ」
「う、うん……っ」
少しナナメになっている土手へ、二人して座る。短く青い芝生が生えていて、ちょうどいいクッションになった。
そんな無数の芝生が、なんだか健気に見えて。スリッと、思わず芝生を撫でる。
「草、好きなのか?」
「うん、お花とか……好き」
二人握っている手は、まだ離れない。いつ離したらいいか、タイミングはとっくに見失った。
だけど――今はそれでいい。
それが、良い気がしたの。
「ふふ……”草”って」
「……なんだよ」
さっきの黒瀬くんの言葉を思い出す。
――草、好きなのか?
植物とか花じゃなくて「草」。
その言い方が男の子っぽくて、ぶっきらぼうで。なんだか面白い。