ウソの魔法に、君とかかる (短)
「確かに……花崎くんは、私を助けてくれなかったよ」
でも……
「だからって、嫌うことは出来ない……かな。いきなり告白した私が悪いし……。
あ、これが“好きになったら負け”って事なのかも」
「暮石……」
眉を下げて、私を見つめる黒瀬くん。
そんな彼を見て涙の止まった私は、ニコリと笑った。
「黒瀬くん、ありがとう。いま黒瀬くんが隣にいてくれるから、こうやって話が出来てる。なんだか……落ち着くの」
「もう泣かない?」
「うん……きっともう、大丈夫」
「……」
大丈夫――なんて。
本当はこれっぽっちも思ってない。
本当は、頭の中グルグルで……。
明日からイジメられるって思ったら、明日なんて来なければいいのにって。そんな事ばかり思う。
だけど、黒瀬くんには迷惑かけてばかりだから。
これ以上、私が泣いたり弱音をはいたら、もっと迷惑かけるだろうから。
だから、本当のことは言わない。