ウソの魔法に、君とかかる (短)
「黒瀬くん、今日はありがとう。
明日さ、私が責任もって皆のゴカイを解くから……安心してね」
「ゴカイ……って?」
「ほら、帰る時ウワサされてたじゃん。私たちが、付き合ってるって」
いま学校では、きっとパニックになってるだろうな。
人気者の黒瀬くんと、何のとりえもない私が、手を繋いで一緒に帰ったんだから。
黒瀬くんの事を好きな子に、悪いことをしちゃった……。
私と黒瀬くんは、そんな関係じゃないのに。
「提案なんだけど」
その時。
黒瀬くんが、一つの「ある事」を持ちかける。
「付き合ってるってウワサされてるなら、いっそ本当のことにするってのは、どう?」
「……へ?」
本当のこと?
それってつまり……
「俺と暮石が付き合うってこと」
「えぇ!?」
思わぬ提案に、ビックリして立ち上がる。
確かに、手を繋いだり抱きしめてくれたりとか。そんな事はあったけど……。
だからって、本当に付き合わなくても……!