ウソの魔法に、君とかかる (短)
「ろ……六月」
「ふはっ、来月じゃん。
じゃあ大人しく、ガマンしな」
クツクツ笑う黒瀬くん。
そう言えば、黒瀬くんは目つきが怖い……なんて思ってたけど。今は、全く思わないなぁ。
むしろ――
「……優しいね、黒瀬くんは」
こんな私のそばにいて。
何気ない話をして。
「何でもない」をよそおって、励ましてくれる。
「優し過ぎるよ……」
これ以上の優しさを知らない私は、なんだか胸が苦しくなって。
ありがとうの気持ちで、押しつぶされそうになる。
ありがとう、ありがとう――
黒瀬くん、ありがとう。
「あ」
すると、急に黒瀬くんが、おどろいた声をだす。
スマホを私に向け「見て」と、ある部分を指さした。
そこは、
「“ナガミヒナゲシ”……。
え、毒があるの!?」
詳しく読むと、ナガミヒナゲシは毒があり、直接さわるのは危険ということだった。