ウソの魔法に、君とかかる (短)
黒瀬くんと一緒にいたら、違うのかな?
私は、明日も前を向けるのかな?
「言っておくけど。
俺は暮石を裏切らない。絶対に」
「!」
黒瀬くんにメリットはないはずなのに。
私のことなんて放っておけばいいのに。
それでも、こうして傍にいて、助けようとしてくれる。
その優しさに、私は……
「黒瀬くん、私……」
甘えてみたくなった。
「ウソの彼氏彼女になる……。
黒瀬くんと、付き合う」
「うん、そうこなくっちゃ」
ニッと笑った黒瀬くんの勝気な笑顔を、夕日が照らす。
そして黒瀬くんが「丸っこい」と言った花と同じ、毒のあるオレンジ色に。いつの間にか私たちは、染まっていたのだった。