ウソの魔法に、君とかかる (短)
男の子? 友達!?
急いで窓から下を見る。すると、見たことある黒髪の頭が、ちょこんと見えた。
あれは――黒瀬くんだ!
「お、お母さん! 私、もう家を出るね」
「えー、朝ごはんは?」
「一口だけパンかじる!」
それから、ダッシュで準備をして玄関を開ける。
すると、門の前にいた黒瀬くんと目があった。
「おう。おはよ」
「お、おはよ……」
起きて、まだ十分。
起ききってない頭の中で、必死に考えた。
どうして黒瀬くんが、家の前にいるんだろうって。
「ごめん、朝一緒に行く約束してたっけ……?」
「いや? してないけど」
「あ、そうだよね」
良かった、私が約束を忘れてたワケじゃないんだ!
あれ? でも、それなら余計に。
どうして黒瀬くん、ここにいるの?