ウソの魔法に、君とかかる (短)
「これはこれで……不気味だな」と。
「黒瀬くん、今のどういう、」
「黒瀬ー! 見たぞ、昨日! お前って、見た目によらず熱い奴だなぁ」
「ハハハ。アリガトー」
黒瀬くんは、からかわれても昨日と同じように上手くかわしている。
さっきの黒瀬くんの発言が気になるから、聞きたかったんだけど……仕方ない。また、ゆっくり話せる時にしよう。
「黒瀬~!」
「暮石さんー!」
黒瀬くんの所には男子。
私の所には女子が集まって、二人のなれそめやら何やらを、朝の会が始まるまで聞かれた。
「暮石さんって黒瀬くんが好きだったんだねぇ」
「黒瀬くんが彼氏なんて、うらやましい~」
「ね、どこを好きになったの?」
なんて。
ものすごい数の質問が投げられる。
もちろん、全部こたえる事は出来なくて。
むしろ、最後の質問しか覚えられない……。
――どこを好きになったの?
「えぇっと……」
黒瀬くんのことは、友達として好きだから。
その好きな理由を、言えばいいんだよね?