ウソの魔法に、君とかかる (短)

すると、グループの一人と目が合った。そして合った瞬間に、嫌そうな顔をされる。

わゎ、恭子ちゃんのことを見過ぎちゃったかな……?


急いで顔をそらし、「見てません」という雰囲気を装う。

次にこっそりグループを見た時は、もう私のことを見ていなかった。はぁ~良かった……っ。



「やっぱり怖いグループだな……。恭子ちゃんが心配だよ……」



そう呟いた時。

バサリと、机の上に置いていたノートが落ちる。あぁ、やっちゃった……。

拾おうと急いで手を伸ばした、その時だった。



「ん」

「……え?」



私が拾うよりも先に、ノートを拾ってくれた男の子がいた。私にノートを渡してくれる。



「あ、ありがとう……」



この子は、確か――

黒瀬 瑚白(くろせ こはく)くん。

名前の漢字に「黒」と「白」がついてるから珍しくて、すぐ覚えたんだよね。
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