ウソの魔法に、君とかかる (短)

パッと。

黒瀬くんは私のノートから手を離した。その反動で、体が後ろに倒れそうになる。



「わ、わゎ……っ⁉」

「おい、暮石!」



座ったまま倒れそうになった私を、ギュッと。黒瀬くんが背中を支えてくれた。

あ、危なかった……っ!



「大丈夫かよ……」

「あ、あはは……ありがとう、黒瀬くん」



ペコリと頭を下げた時。

近くにいた男子が「ヒューヒュー」と口笛を吹く。



「お熱いねぇ、お二人さん! 暮石、顔が真っ赤じゃん! あ、実は暮石、黒瀬のことが好きだったりして~?」

「え⁉」



そ、そんなわけないじゃん!
私が好きなのは花崎くんなのに!
< 7 / 82 >

この作品をシェア

pagetop