ウソの魔法に、君とかかる (短)
パッと。
黒瀬くんは私のノートから手を離した。その反動で、体が後ろに倒れそうになる。
「わ、わゎ……っ⁉」
「おい、暮石!」
座ったまま倒れそうになった私を、ギュッと。黒瀬くんが背中を支えてくれた。
あ、危なかった……っ!
「大丈夫かよ……」
「あ、あはは……ありがとう、黒瀬くん」
ペコリと頭を下げた時。
近くにいた男子が「ヒューヒュー」と口笛を吹く。
「お熱いねぇ、お二人さん! 暮石、顔が真っ赤じゃん! あ、実は暮石、黒瀬のことが好きだったりして~?」
「え⁉」
そ、そんなわけないじゃん!
私が好きなのは花崎くんなのに!