聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!
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聖堂の裏手にある小道を、セヴィリスと少年がゆっくり歩く。シノは俯いたままだ。
「君が無事で何よりだ。妻がとても心配していたからね。元気な姿にまずはホッとしたよ」
彼は難しい顔をして聖騎士を見上げる。
「あの……デインハルト様。リリシア様は、あなたの奥方なの……?」
「そうだよ。私の大切な妻だ」
「し、知らなかった。ご結婚されたことだけで……貴方だったなんて」
彼はセヴィリスをちょっとだけ睨んでいる。
「リリシア様はとてもお優しくて、そして勇敢なんだ……」
「知っている。素晴らしい女性だよね」
聖騎士はにっこりと微笑む。遠くで馬車が通り過ぎる音がして、彼は少しため息をついた。
「私は彼女を精いっぱい守りたいのだが、なかなかうまくいかないものだね」
「なぜ?あなたは聖騎士様でしょう?」
「そうだね。聖騎士だからこそ、かもしれないな……。ところで、この施設の立ち退きのことで君に提案がある。それから、馬を一頭貸してほしいんだが」
シノは目をぱちくりさせて頷いた。二人はすこし話をしたあと、セヴィリスは一人で歩き出した。