Sweet silent night

16.雪がおさまるまで、そばにいて

 突然の告白にドキドキしつつ、ムースを口にはこぶと、やさしいミルク味が口のなかに広がった。
 
 おいしい……!
 こんなおいしいスイーツ、今まで食べたことない。
 ひとくち口に入れるたび、ふわっととろけて。 思わず笑みがこぼれてくる。
 まるで夢みたい。
 
 クリスマスイヴは、サンタクロースが空から世界じゅうのひとたちを見守ってくれている。
 聖なる夜に、みんなが笑顔になれるよう魔法をかけてくれるんだって。
 そんなの、ただのおとぎ話だと思ってた。
 でも。
 あのとき、偶然月城くんに出会ったのも、今日がステキな一日に変わったのも、サンタさんがあたしにもたらしてくれたプレゼントなのかな……。

「あのね、月城くん。あたしも、月城くんのこと好きだよ」
 そのほっこりした甘い笑顔と、やさしさに満ちあふれた月城くんのことが大好き。
 「ホントに……?」
 月城くんはサッと顔を赤らめて、しばらくのあいだドギマギしてたけど。
「あっ、見て!」
 と、窓の外を指さした。
 すっかり日の暮れた町に雪がチラチラと舞っている。
「わぁ、今夜はホワイト・クリスマスイヴだね。積もるかな?」
 窓の近くに寄って、しばらく外の様子を見ていると、後ろからギュッ、と月城くんに抱きしめられた。
「外は寒いよ。雪がおさまるまで、もう少しそばにいてくれないかな? なんて、雪のせいにしちゃうけど」
 はにかむ月城くんのささやきが耳元で響く。
「――うん」
 どうせなら、このままいつまでも雪が降り続いてくれればいいのに。
 あたたかくて甘い体温に包まれながら、あたしはコクンとうなずいてみせた。
 
 おわり
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