二人の歩幅が揃うまで
「…手際、本当にいいんですね。」
「そうですか?自分では…あんまりわからないんですよね。オーナーはもっと手際がいいですし。」
「なるほど…自分よりもすごい人が近くにいると、自分のすごさには気付きにくいのかもしれないですね。」
綾乃からすれば、すごいことだらけだ。新しいメニューを考案して、こうして話しながら次々に料理を提供している。もちろん料理の味も綾乃の好みだった。
「魚介の冷製パスタです。隣で食べてもいいですか?」
「もちろんです。」
エプロンをしたままカウンターから出てきた健人は、椅子を引いてそっと座った。そしてしっかりと手を合わせる。
「いただきます。」
「私も、いただきます。」
ほのかに広がるレモンとトマトの酸味が、ホタテやサーモンによく合う。思っていたよりもハイペースで食べてしまう。
「味、大丈夫ですか?」
「とっても美味しいです!」
「本当に美味しそうに食べてくれますよね、いつも。」
「だって本当に美味しいですから。」
「誕生日に綾乃さんと食事ができて、本当に嬉しいです。お仕事後に駆けつけてもらってすみません。」
「いえ、逆に私のほうこそ大したお祝いもできなくて…。試食とか色々させてもらって、おいしい思いをしてるので今日こそはと思ってたんですけど。」
正直に言えば、オーナーに声を掛けてもらえたのも嬉しかったのだ。間違いなく、心が疲れていたときに優しさをわけてくれたのはここであったし、ここの人たちだったのだから。
「そうですか?自分では…あんまりわからないんですよね。オーナーはもっと手際がいいですし。」
「なるほど…自分よりもすごい人が近くにいると、自分のすごさには気付きにくいのかもしれないですね。」
綾乃からすれば、すごいことだらけだ。新しいメニューを考案して、こうして話しながら次々に料理を提供している。もちろん料理の味も綾乃の好みだった。
「魚介の冷製パスタです。隣で食べてもいいですか?」
「もちろんです。」
エプロンをしたままカウンターから出てきた健人は、椅子を引いてそっと座った。そしてしっかりと手を合わせる。
「いただきます。」
「私も、いただきます。」
ほのかに広がるレモンとトマトの酸味が、ホタテやサーモンによく合う。思っていたよりもハイペースで食べてしまう。
「味、大丈夫ですか?」
「とっても美味しいです!」
「本当に美味しそうに食べてくれますよね、いつも。」
「だって本当に美味しいですから。」
「誕生日に綾乃さんと食事ができて、本当に嬉しいです。お仕事後に駆けつけてもらってすみません。」
「いえ、逆に私のほうこそ大したお祝いもできなくて…。試食とか色々させてもらって、おいしい思いをしてるので今日こそはと思ってたんですけど。」
正直に言えば、オーナーに声を掛けてもらえたのも嬉しかったのだ。間違いなく、心が疲れていたときに優しさをわけてくれたのはここであったし、ここの人たちだったのだから。