二人の歩幅が揃うまで
* * *
9月15日火曜日。定時ダッシュを決めて、店の前に立つ。閉店中の看板が立っているが、コンコンとドアをノックした。
「お誕生日、おめでとうございます、綾乃さん。」
「おめでとうございます。」
後ろからオーナーがクラッカーを鳴らしてくれる。クラッカーのパンという音なんて、聞いたのはいつぶりだろう。
「クラッカーまで!パーティ気分になっちゃいますね。ありがとうございます。」
「湯本さんも鳴らしたかったらまだありますよ。」
「いいんですか?」
「健人もやるかい?」
「綾乃さんがやるなら…。」
「やりましょう!」
広い空間でクラッカーを鳴らすことなんてなかなかない。綾乃は一つ、クラッカーを手に取る。それに続いて健人もクラッカーを持った。
「せーの!」
パァンと乾いた音が鳴って、少しだけ紙吹雪が舞う。
「こういう、お祝いって感じすごく久しぶりで嬉しいです。」
「喜んでもらえてよかったです。綾乃さんは今日のメインゲストなので、こちらにどうぞ。」
「じゃあ、先に作ってるよ。」
「お願いします。」
店内にいつもと違う香りが漂う。それもそのはずだ。綾乃のリクエストは『和食』。
「いつものパスタやグラタンも美味しくて大好きなんですけど、二人が作る和食が食べてみたいなって思っていたんです。」
「あんまり見た目、派手な感じじゃないですけど…。」
「見た目の派手さよりも、美味しさが重要です。あと、お二人の和食っていうところが今回の私の最大のレアポイントなので。」
「…?」
綾乃の意図するところがあまりわかっていないような表情を浮かべる健人に、思わずくすっと笑ってしまった。
「じゃあ、もう少しだけお待ちくださいね。」
9月15日火曜日。定時ダッシュを決めて、店の前に立つ。閉店中の看板が立っているが、コンコンとドアをノックした。
「お誕生日、おめでとうございます、綾乃さん。」
「おめでとうございます。」
後ろからオーナーがクラッカーを鳴らしてくれる。クラッカーのパンという音なんて、聞いたのはいつぶりだろう。
「クラッカーまで!パーティ気分になっちゃいますね。ありがとうございます。」
「湯本さんも鳴らしたかったらまだありますよ。」
「いいんですか?」
「健人もやるかい?」
「綾乃さんがやるなら…。」
「やりましょう!」
広い空間でクラッカーを鳴らすことなんてなかなかない。綾乃は一つ、クラッカーを手に取る。それに続いて健人もクラッカーを持った。
「せーの!」
パァンと乾いた音が鳴って、少しだけ紙吹雪が舞う。
「こういう、お祝いって感じすごく久しぶりで嬉しいです。」
「喜んでもらえてよかったです。綾乃さんは今日のメインゲストなので、こちらにどうぞ。」
「じゃあ、先に作ってるよ。」
「お願いします。」
店内にいつもと違う香りが漂う。それもそのはずだ。綾乃のリクエストは『和食』。
「いつものパスタやグラタンも美味しくて大好きなんですけど、二人が作る和食が食べてみたいなって思っていたんです。」
「あんまり見た目、派手な感じじゃないですけど…。」
「見た目の派手さよりも、美味しさが重要です。あと、お二人の和食っていうところが今回の私の最大のレアポイントなので。」
「…?」
綾乃の意図するところがあまりわかっていないような表情を浮かべる健人に、思わずくすっと笑ってしまった。
「じゃあ、もう少しだけお待ちくださいね。」