あなたと想いが通い合う日を私、……ずっと待ってたはずなのに

第13話 好きだよ

 大地が私にキスしてきた。

 生まれて初めてのキスの相手が大地で嬉しい。

 大地の唇が柔らかくてあたたかくてドキドキしてる。

 ゆっくりと唇を離すと大地は苦しそうな顔で謝った。

「キスしてごめん」
「謝らないで。私も大地が好きだよ」

 大地は私をまた抱きしめた。

「菜保子、俺! 嬉しいよ」

 喜んでくれる大地に私は申し訳ない気持ちになった。
 好きだよ。
 大地のことが大好きだよ。
 すごく好きだけどやっぱり付き合えない。

「花園から伝言を預かってきたんだ」
「知歌《ちか》から?」
「俺、菜保子に転校する前にもう一度好きだって伝えたくてさ。菜保子ん家に行ったら花園に会ったんだ」

 大地は私を抱きしめたままだった。

 安心する大地の腕のなかで私は知歌を思う。

 知歌も好きな大地。

 私は大地に抱きしめられている。

 罪悪感に心が押し潰されそうになる。

 だって知歌も大地を好きなんだよ。

 ごめんね、知歌。
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