冴えないオレに、めちゃカワな詩音さんは「君の一番のファンは私だよ」と言ってくれた!

第2話 タヌキ先生と冴えないオレの部活探し

 中学二年生になったオレ。
 一年の時に入ってた部活が先輩が引退したり転校したりで、オレしかいなくなり潰れてしまった。
 
 ポスター研究部というおそらくはこの学校にしかなかったであろうクラブだった。
 
 夏休みの課題に向けてひたすらポスターを作ったり学校の標語を考えたり真面目な部活だ。
 
 部員も大人しい目立たない感じの人ばがりで。
 
 意地悪な先輩もいなくて害もなかった。

 なんの取り柄もないオレでも劣等感をもたずに過ごせたから居心地が良かった。
 
 そう。いかんせん地味だった。

 わりと、いやかなりポスター研究部のことは好きだが人気がなく新しい部員はとうとう入らなくて。

 うすうす廃部になりそうなことは感づいていたが、昼休みに職員室に呼ばれてポスター研究部の廃部をとうとう決定的に知らされたオレは新しい部活を探すこととなった。


 
 下校途中にトボトボ歩くオレ。
 呼び止めたのは事情を知っているアイツだ。

「健人《けんと》! サッカー部来いよ」

 校庭から走って来たのは幼馴染みの和正《かずまさ》だ。
 サッカー部のユニホームが似合いすぎる。
 爽やかすぎるっ!
 まっ、眩しい。

「お前が来てくれたら俺嬉しいし」

 なんのイヤミもない良い奴なのだ。
 そしてすごいイケメンだ。
 
 神様どうしてこんな不公平をなさるのでしょうか?

「オレはいいや。サッカー苦手だし」

 オレはコイツの引き立て役に過ぎない。
 サッカー部なんかに入ったらますます卑屈になってなんにも悪くない和正を恨むかもしれん。
 ますます性格がひねくれて、オレはどんどん性格の悪いやつになってしまうに違いない。

 
 そうして次の日からオレはあちこちの部活に見学に行かなくてはならなくなった。

「うちの学校はずっと同じ部活という縛りはないが、だいたいの生徒はあまり部活異動しないからなあ。お前ぐらいだぞ。二年生で部活見学すんの」
「はあ」

 オレはポス研(ポスター研究部)の元顧問のタヌキ(名字は田貫《たぬき》でしかも狸にそっくりな先生)と部活巡りをしている。

 今日何か所か見たなかでは、どこの部活にも入る気がしなかった。
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