528ヘルツの大好き
姿勢がよくてスラッとしてて高身長。サラサラな髪は少し日に焼けて赤茶色。その背中の持ち主を、私は顔を見なくても分かった。
――朔間蒼太。
二学期の途中、この前転校してきた男子だ。
前の学校では陸上部で全国大会に出るくらいだったらしいけど、今は陸上どころかなんの部活もしていない。クラスの陸上部の子たちや、顧問の先生が時々教室まで勧誘に来ているのを見るが、全部断っているみたいだった。
怪我もしてないようなのにどうして入部しないのかな。無口であまり喋らないし、笑ったところも見たことない。いつもひとりでいる。
でもひとりでいる事には苦痛を感じないみたいだ。よく教室の窓際の一番後ろの自分の席で、本を読んでいる。そんな姿がクールでかっこいいって、そういうのが好きな女子に少し人気があるみたい。
つるまなくて一人ぼっちでも動じないなんて、いいなあって思う。
私はみんながグループ作ってると自分だけ浮いていてなんだか気まずいし、自分も誰かといないといけない様な気がしちゃうのに。
だから、朔間くんがちょっと羨ましい。
自分の器の小ささにため息をひとつ零すと、着替える為に多目的教室へ向かった。
◇
――朔間蒼太。
二学期の途中、この前転校してきた男子だ。
前の学校では陸上部で全国大会に出るくらいだったらしいけど、今は陸上どころかなんの部活もしていない。クラスの陸上部の子たちや、顧問の先生が時々教室まで勧誘に来ているのを見るが、全部断っているみたいだった。
怪我もしてないようなのにどうして入部しないのかな。無口であまり喋らないし、笑ったところも見たことない。いつもひとりでいる。
でもひとりでいる事には苦痛を感じないみたいだ。よく教室の窓際の一番後ろの自分の席で、本を読んでいる。そんな姿がクールでかっこいいって、そういうのが好きな女子に少し人気があるみたい。
つるまなくて一人ぼっちでも動じないなんて、いいなあって思う。
私はみんながグループ作ってると自分だけ浮いていてなんだか気まずいし、自分も誰かといないといけない様な気がしちゃうのに。
だから、朔間くんがちょっと羨ましい。
自分の器の小ささにため息をひとつ零すと、着替える為に多目的教室へ向かった。
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