本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
「じゃあ、エントリー順に撮ります。終わった人たちから帰って大丈夫です」

 コンテスト実行委員会の男子がカメラを三脚に乗せて、舞台にレンズを向け準備を始めた。

「では、1番のひと、お願いしまーす」

 撮影が始まった。
 他の人たちは待機して、撮られている生徒を眺めていた。

 陽大くんと私は、締切ギリギリに応募したから最後の20番目。

 今日は自己紹介と回った全身姿の動画だけだけど、今すぐどこかに逃げてしまいたいくらい緊張する。

――だけど、逃げることさえも出来ない臆病な自分。

 前の人たちがそれぞれカッコよく、可愛く。そしてはきはきとカメラに向けて自己紹介をし、自信満々にぐるりと回る。

 ついに私たちの番が来た。
 私の中にはゆううつしかない。
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