本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
 他の人たちは私たちのことに全く興味がない様子。それぞれ撮影を終わると次々に帰っていった。残って見られるよりはマシだったのかな?

 今いるのは、コンテスト実行委員会の撮影編集担当のふたりだけ。

「それではラスト、20番の人たちお願いします」

 私たちはステージに立った。
 陽大くんと並んだ。

 体育館の入口側ではバスケ部の生徒たちが練習を始める準備をしていた。

 彼女たちも一切こっちを見ていない。

 本当に誰も私たちには興味がないんだな……。ラストがもしも花田さんたちなら、きっと名前を言って回るだけなのに他の参加者たちも残って、バスケ部のみんなも彼女たちに注目するんだろうな……。
 
「じゃあ、僕から言うね」
「うん」

 陽大くんは背筋をびしっと伸ばし、カメラに視線を向けた。

「七瀬 陽大です。コンテストに出場するからには優勝を目指し、僕たちは全力で頑張ります」

 そう言って彼はぐるりと一周した。

 思わず横にいる彼を二度見した。
 優勝を目指すの?

 その発言が信じられなかった。
 だって、絶対に私たちが優勝するなんてありえないから。

 私の番が来た。

「白雪 優乃です…よろしく…お願いしま……」

 そう言った後、なんとかぐるりと回った。

 カメラに視線を合わせられなかったし、言葉は震えて上手く言えなくて、回り方もぎこちないし……全部失敗した感じだった。


 
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